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接触冷感とは?基本的な仕組みや効果の高い素材を紹介

接触冷感とは?基本的な仕組みや効果の高い素材を紹介

2021年の職場における熱中症死傷災害発生数は547人、そのうちの死亡者数は20人です。また、2021年における熱中症死傷災害のうちの約4割は、建設業・製造業で発生しています。建設業・製造業における熱中症死傷災害の発生を避けるためには、制服・作業着を見直すことも考えましょう。

出典:厚生労働省「令和4年「STOP!熱中症 クールワークキャンペーン」を実施します」

この記事では、制服・作業着を見直すことで従業員の身の安全を守りたい総務担当者に向けて、接触冷感の仕組みや商品選びのコツを解説します。

 

1.接触冷感とは?

接触冷感とは、その名の示す通り、肌と接触した際に冷たく感じる効果のことです。たとえば、夏場に日陰の鉄やコンクリートに触れた際に「冷たい」と感じることが、接触冷感にあたります。

出典:日本化学繊維協会「接触冷感」

接触冷感素材とは、接触冷感を繊維製品に応用する目的で開発された素材です。近年では節電意識の高まりなどからさまざまなメーカーが、接触冷感グッズ(接触冷感素材を使用した衣類・生活雑貨・寝具)を発売しています。

以下は、接触冷感素材が使用されている品物の例です。

  • 制服、作業着
  • 春夏用の寝具(枕パッド、敷布団カバー、マットレスパッドなど)
  • 春夏用の衣料品(インナー、Tシャツ、カーディガンなど)
  • スポーツウェア
  • ヒンヤリマスク

上記の他に、ペット用品などにも、接触冷感素材が使用されることがあります。接触冷感素材を有効に活用することで、暑い時期も快適に乗り切ることができるでしょう。

 

1-1.接触冷感の基準:Q-max

Q-max(最大熱吸収速度)とは、繊維製品などに触れた時、「どの程度冷たく感じるか」を示す値です。Q-maxの値が大きいほど、触れた時に冷たく感じることを示します。

JIS規格における接触冷感の評価基準は「デルタT(試験で使用するセンサーとサンプルの温度差)=10℃」の試験条件で、Q-max0.1以上です。

出典:一般財団法人カケンテストセンター「接触冷感性試験(JISL 1927)」

ただし、「はっきりと冷たさを感じるためには0.4以上が必要」とも言われるため、「接触冷感素材を選択すれば必ず快適」とは言い切れません。

 

2.接触冷感の仕組み

接触冷感は温度の高い場所から低い場所へと移動する熱の性質を利用して、冷たさを感じさせます。また、接触冷感素材では触れた時の肌離れのしやすさを高めることで、快適性を高める手法を取ることも一般的です。

以下は、接触冷感素材の主な特徴を示します。

●高い熱伝導率

熱伝導率とは、熱の伝わりやすさのことです。接触冷感素材では熱伝導率の高い繊維を使用することで体温を奪い、触れた時の涼しさや冷たさを感じさせます。

●サラッとした肌触り

接触冷感素材は汗によるベタつきや不快感を軽減する目的で、サラッとした肌触りに仕上げられることが多くあります。また、接触冷感素材に触れた時の「シャリ感(やや硬い印象を持つこと)」も、快適性を高めるための工夫です。繊維製品にシャリ感を持たせると生地が肌にまとわりつきにくくなり、見た目の清涼感も高まります。

 

3.接触冷感の効果が高い素材4選

接触冷感素材の繊維製品から目的に合う商品を選択する際には、使用されている素材の種類に注目する方法が一案です。接触冷感素材の繊維製品には主に、麻・絹・レーヨン・ポリエステルなどが使用されます。素材ごとの特徴とQ-maxの値は、以下の通りです。

(1)麻

麻はQ-maxの値が0.35〜0.4と高く、熱伝導性に優れた素材です。麻は吸湿性・放湿性も高い素材であり、汗を素早く吸収して、乾きやすい特徴を持ちます。ただし、麻はやや手触りが硬い素材であるため、着用中のゴワゴワ感が気になる人もいるでしょう。

(2)絹

絹はQ-maxの値が0.3程度と、天然繊維の中では熱伝導性に優れた素材です。絹の主成分は人間の皮膚と同じタンパク質であることから肌馴染みが良く、素材自体の柔らかさや滑らかさを実感できます。ただし、絹はデリケートな素材であるため、手洗いもしくは専門店における手入れが必要です。

(3)レーヨン

レーヨンは再生繊維で、Q-maxの値が0.3〜0.35程度となります。レーヨンはもともと絹の代用品として開発された素材であるため、滑らかな手触りや上品な光沢を楽しむことが可能です。ただし、レーヨンは水や熱に弱いことから、洗濯やアイロン掛けには注意しましょう。

(4)ポリエステル

ポリエステルはQ-maxの値が0.3〜0.35程度の合成繊維です。ポリエステルの繊維製品はシワが付きにくい・防虫剤によって変色しにくいなどの特徴を持ちます。ただし、ポリエステルは匂いや汚れを吸着する特徴も持つことから、日々の手入れに工夫が必要です。

 

4.制服・作業着で接触冷感素材を活用する場合の注意点3つ

制服・作業着で接触冷感素材を活用する場合には、いくつかの注意点があります。注意点を意識することなく接触冷感素材を活用すると期待通りの効果を得られない可能性があるため、正しい知識を持つことが大切です。

ここでは、接触冷感素材の制服・作業着を取り入れる前に知っておきたい注意点を解説します。

 

4-1.接触冷感による冷却効果は一時的なものである

接触冷感は肌と接触した際に限り、冷たさを感じる効果です。そのため、接触冷感素材を着用している間、冷たさが長時間持続するわけではありません。接触冷感素材の使用だけで、熱中症対策が完璧に行えるという期待は持たないようにしましょう。

接触冷感素材を熱中症対策として活用する場合は、他のアプローチも合わせて実践することがおすすめです。接触冷感素材の活用と合わせて実践できる、以下のような熱中症対策の例があります。

  • 必要に応じて作業の中止、休憩などの対処を実施する
  • 作業場所の近くに涼しい休憩場所を確保する
  • 定期的に水分や塩分の摂取を促す

また、熱中症のなりやすさには、従業員の健康状態も関係します。熱中症を予防するためには、作業前日はお酒を適度に控えること・当日は朝食をしっかり取ることなどを周知しましょう。

出典:厚生労働省「STOP!熱中症 クールワークキャンペーン」

 

4-2.Q-maxの高さだけでは選択しないようにする

接触冷感素材の快適さは、熱伝導性・吸湿性・吸水性・肌触りなどのバランスに左右されます。Q-maxの高さだけに注目して制服・作業着を選択すると他の要素の確認が疎かになるリスクがあるため、注意しましょう。

また、「快適」と感じる冷感レベルには、個人差があります。そのため、Q-maxの値は「高いほど良い」とは限らず、従業員にとって快適な冷感レベルを見極めることが必要です。

身体が冷えやすい人へはあえて、冷感レベルがやや低い制服・作業着を選択する方法もあります。反対に極端に暑がりな人へは、冷感レベルの高い制服・作業着を選択することもおすすめです。

 

4-3.吸湿性・吸水性のある素材を選択する

吸湿性とは、空気中の水分(湿気)を吸収する性質を意味します。吸水性とは、汗などの液体を吸収する性質です。吸湿性・吸水性のない接触冷感素材は汗をかいた際に蒸れやすく、不快感を持つリスクがあります。

汗をかいても快適な制服・作業着を選択するためには、吸汗速乾性に注目しましょう。吸汗速乾性とは、汗や湿気を吸収し、それを素早く蒸発させる機能です。接触冷感・吸汗速乾性の両方を備えた制服・作業着を選択すれば肌に触れた時には涼しい上、かいた汗を素早く吸収してくれるため、快適性が高まります。

 

まとめ

接触冷感素材とは、接触冷感効果(肌と接触した際に冷たく感じる効果)を持たせた素材です。接触冷感素材は温度の高い場所から低い場所に移動する熱の性質を利用して、冷たさを感じさせる仕組みです。

熱中症予防対策の一環として接触冷感素材の制服・作業着を取り入れる場合は吸湿性・吸水性にも注目し、商品を選択しましょう。また、接触冷感素材の制服・作業着を取り入れることのみでは十分な熱中症対策にならないことを理解することが大切です。接触冷感素材の活用を含めて、幅広いアプローチから作業現場の暑さ対策に取り組みましょう。