塗装業の作業着選びで失敗しない注意点と選び方ガイド

日本被服工業株式会社
お役立ちコラム
塗装業の作業着選びで失敗しない注意点と選び方ガイド

塗装業の作業着選びで失敗しない注意点と選び方ガイド

塗装業の現場では、塗料や有機溶剤が飛び散るのは日常茶飯事。作業着の選び方ひとつで、体へのリスクや作業効率が大きく変わってきます。「どんな素材を選べばいいの?」「洗濯してもなかなか落ちない…」と悩んでいる方も多いのではないでしょうか。この記事では、塗装業の作業着選びの注意点から、防汚加工・静電気対策・洗濯方法まで、初心者の方でもすぐに実践できる内容をわかりやすく解説します。


塗装業の作業着選びで失敗しないための注意点まとめ

塗装業の作業着選びで失敗しないための注意点まとめ

塗装業の作業着選びには、一般的な作業着とは異なる独自のポイントがあります。素材・機能・使い方の3つの軸を押さえておくだけで、失敗のリスクをぐっと減らすことができます。まずは基本条件と初心者が特に注意すべきポイントから確認していきましょう。

塗装業の作業着に求められる3つの基本条件

塗装業の作業着を選ぶうえで、まず押さえておきたいポイントは次の3つです。

1. 袖が邪魔にならないこと:作業中に袖が塗装面に触れないよう、適切な長さや形状であること
2. 動きやすさ:高い場所や手作業で袖や裾が邪魔にならず、身軽に動けること
3. 防汚加工:塗料汚れが繊維に深くしみ込まないこと

塗装業の作業着の注意点として、これらのポイントが揃っていない作業着を選んでしまうと、袖が塗装面に触れて汚れや作業ミスが生じたり、安全性が損なわれることもあります。「安いから」という理由だけで選ぶのはリスクが高いので、機能面をしっかり確認してみてください。

初心者が特に気をつけるべきポイント

塗装業を始めたばかりの方がよく陥りがちな失敗が、「普通の綿素材の作業着をそのまま使ってしまう」こと。綿素材は吸水性が高い反面、有機溶剤を吸い込みやすく、肌へのダメージリスクが上がります。

また、袖口や裾の開口部分から塗料が入り込むケースも多いので、フィット感のある仕様になっているかどうかも確認しておきましょう。さらに、作業内容によっては使い捨て作業着繰り返し使える作業着を使い分けることも重要です。最初はコストを気にしすぎず、安全性を最優先に選ぶ意識を持つことが、長い目で見たときの失敗を防ぎます。

ロゴ

塗料・溶剤から体を守るために素材選びが重要な理由

塗料・溶剤から体を守るために素材選びが重要な理由

塗装業の現場で使われる塗料や有機溶剤は、肌や体に直接触れるだけでなく、作業着の素材を通じて少しずつ影響を与えることがあります。素材選びを軽視すると、知らないうちに体へのダメージが蓄積されることも。有機溶剤のリスクと静電気による引火の危険性を正しく理解しておきましょう。

有機溶剤が作業着に与えるダメージとは

シンナーやトルエンなどの有機溶剤は、揮発性が高く、繊維の素材によっては化学反応を起こして生地を溶かしたり、変色・硬化させることがあります。特にナイロンやポリウレタンといった素材は有機溶剤への耐性が低く、気づかぬうちに生地が劣化して破れやすくなるケースがあります。

生地が劣化すると保護機能が失われ、溶剤が直接肌に触れるリスクが高まります。厚生労働省も有機溶剤中毒予防規則のなかで適切な保護具の着用を義務づけており、作業着の素材選びはその第一歩といえます。繰り返し溶剤にさらされる環境では、定期的な作業着の状態確認と交換も欠かせません。

静電気による引火リスクを見落としてはいけない理由

塗装現場では、有機溶剤の蒸気が空気中に漂っていることが多く、静電気のスパークがそのまま引火・爆発事故につながる可能性があります。これは「たまにバチッとなる程度」では済まない、深刻な安全リスクです。

特に一般的なポリエステル素材の作業着は帯電しやすく、塗装現場では非常に危険です。帯電防止加工(制電加工) が施された作業着を選ぶことで、静電気の発生を大幅に抑制できます。日本産業規格(JIS)では帯電防止作業服の規格(JIS T 8118)が定められており、この規格をクリアした製品を選ぶのがおすすめです。現場の安全を守るためにも、静電気対策は必須事項として覚えておきましょう。

塗装業向け作業着の選び方:素材・機能・防汚加工の基準

塗装業向け作業着の選び方:素材・機能・防汚加工の基準

塗装業に適した作業着を選ぶには、素材の耐薬品性・防汚加工の種類・帯電防止機能の3つを総合的に判断する必要があります。それぞれの基準を理解しておくと、商品スペックを見るだけで自分に合った作業着を選べるようになります。

耐薬品性のある素材とNGな素材の違い

塗装業の作業着に向いている素材・向いていない素材を整理すると、以下のようになります。

素材 耐薬品性 特徴
ポリエステル(制電加工済み) 中〜高 軽くて乾きやすい。加工次第で防汚性も高い
綿(コットン) 吸湿性は高いが溶剤を吸収しやすく劣化しやすい
ナイロン 低〜中 有機溶剤に弱く、溶けることがある
ポリウレタン 柔軟性が高いが溶剤耐性が低い
TC素材(ポリエステル+綿混紡) コスパが良く汎用性が高い

有機溶剤を頻繁に扱う現場では、制電加工済みポリエステルTC素材が比較的おすすめです。純綿は肌触りがよい反面、溶剤耐性が低いため、溶剤を直接扱う場面では上から使い捨て作業着を重ねるなどの工夫が必要です。

防汚加工の種類と効果の違い

「防汚加工」と一口にいっても、その種類と効果はさまざまです。主な加工の種類と特徴を確認しておきましょう。

  • ソイルガード(SG)加工(フッ素系樹脂中心):水性・油性の汚れどちらにも効果的で、繊維表面を撥水・撥油性に加工します。耐久性は洗濯回数によって低下する場合があるため、洗濯耐久性を考慮した製品選びが大切です。
  • SR加工(ソイルリリース加工):汚れが付着しても洗濯で落ちやすくする親水性加工で、アクリル酸系樹脂を使用しています。SG加工との併用でさらに効果がアップします。
  • ソイルガードリリース(SGR)加工:撥水性と親水性を併せ持ち、空気中では汚れの付着を防ぎ、洗濯時は汚れを落としやすくする加工です。耐久性が高いのが特徴です。

塗装業の作業着選びで注意点のひとつとなるのが、扱う塗料の種類に合わせた防汚加工を選ぶことです。水性汚れのみの現場ならSR加工で十分な場合も多いですが、油性塗料や溶剤を扱う場合はSG加工(フッ素系)またはSGR加工の製品を選ぶと、より安心して作業に集中できますよ。

帯電防止機能(静電気対策)がついた作業着の選び方

帯電防止機能が付いた作業着を選ぶ際は、JIS T 8118(制電作業服) の規格をクリアしているかどうかを確認するのが基本です。この規格では「帯電電荷量が0.6μC以下」という基準が設けられており、対応製品はラベルや商品説明に明記されています。

購入時に確認したいポイントをまとめます。

  • JIS T 8118の規格適合マークがあるか
  • 制電糸(導電性繊維)が縦・横に均一に織り込まれているか
  • 洗濯後も制電性能が維持されるか(耐洗濯性)
  • 裾や袖口がリブ仕様など閉じた構造になっているか

制電糸が入っていても、洗濯を繰り返すと徐々に効果が低下する製品もあります。購入前に「何回の洗濯後まで性能が保証されているか」を確認しておくと、長期的に安心して使えます。

ロゴ

使い捨てと繰り返し使用できる作業着の使い分け方

使い捨てと繰り返し使用できる作業着の使い分け方

塗装業では、作業の種類や現場の状況によって「使い捨て作業着」と「繰り返し使える作業着」を上手に使い分けることが、コスト管理と安全確保の両立につながります。それぞれの特徴と使い分けの基準を確認しましょう。

使い捨て作業着が向いている現場・作業の種類

使い捨て作業着(ディスポーザブルカバーオール)が特に活躍するのは、次のような状況です。

  • 大量の塗料や溶剤が飛散する吹き付け塗装(スプレー塗装・エアレス塗装など)
  • アスベストや鉛系塗料など、有害物質を含む現場での作業
  • 1回限りの単発作業や養生・剥離作業
  • 作業後に洗濯する時間や設備がない出張・短期現場

使い捨て作業着の主な素材はポリエチレンやポリプロピレン系の不織布で、溶剤への耐性はそれほど高くないため、長時間・高濃度の溶剤環境では適切な防護服(化学防護服)と組み合わせることが必要です。

「高価な作業着を汚したくない」という場面で使い捨てを上から羽織るのも、現場ではよく見られる賢い使い方です。

繰り返し使用できる作業着を選ぶ際のチェックポイント

繰り返し使用できる作業着を選ぶ際は、コスト対耐久性のバランスが重要です。以下のチェックポイントを参考にしてみてください。

  • 縫い目の強度:二重縫製や袋縫い仕様になっているか
  • 素材の耐薬品性と制電性能:JIS規格適合品かどうか
  • 防汚加工の耐洗濯性:何回洗濯しても効果が持続するか
  • ファスナーや留め具の素材:金属製は錆びる可能性があるため、プラスチック製が望ましい
  • サイズ感とフィット感:袖口や裾から塗料が入り込まないタイト目の設計か

繰り返し使える作業着は初期コストが高めでも、長期間使用すれば1着あたりのコストが下がります。特に毎日同じ現場に通う職人さんにとっては、品質の高いものをしっかり選ぶ方が結果的にお得です。

作業着と合わせて使う保護具の基本的な組み合わせ方

作業着と合わせて使う保護具の基本的な組み合わせ方

作業着だけでは、塗装現場でのリスクを完全にカバーすることはできません。呼吸器保護具・手袋・ゴーグルなどの保護具と正しく組み合わせることで、はじめて体全体を守る装備が完成します。各保護具との合わせ方を確認しておきましょう。

呼吸器保護具との正しい組み合わせ方

有機溶剤の蒸気を吸い込むと、頭痛・めまい・最悪の場合は有機溶剤中毒を引き起こすことがあります。そのため、作業着と有機ガス用防毒マスクの組み合わせは塗装現場の基本セットといえます。

組み合わせる際の注意点は次のとおりです。

  • 防毒マスクは有機ガス用吸収缶が装着されているものを選ぶ(粉じんマスクでは溶剤蒸気は防げません)
  • 作業着のフードや襟が高い場合、マスクのストラップが干渉しないか事前に確認する
  • マスクのシール性を保つため、ひげや汗が顔に付着しない状態で装着する
  • 使い捨て作業着を着用する現場では、フード付きタイプを選ぶとマスクとの一体感が高まります

また、酸素濃度が18%未満になる密閉空間では防毒マスクではなく送気マスクや空気呼吸器が必要なため、現場の環境を事前に確認することが大切です。

手袋・フード・ゴーグルとの合わせ方の注意点

作業着と合わせて使う保護具は、「隙間を作らない」ことが最重要ポイントです。それぞれの選び方と着用時の注意を確認しましょう。

手袋

  • 有機溶剤を扱う際は、天然ゴムやニトリルゴム製の耐溶剤性手袋を選ぶ(薄手のポリエチレン手袋は溶剤が浸透するため不可)
  • 手袋の袖口部分を作業着の袖の外側に重ねると、溶剤が手袋の内側に入り込みにくくなります

フード(頭部カバー)

  • スプレー塗装など飛散量が多い作業では、フード付き作業着または別売りのフードを活用する
  • フードと防毒マスクのストラップが干渉する場合は、フードを先に被ってからマスクを装着する順番が◎

ゴーグル

  • 塗料の飛散から目を守るには、側面まで保護できる密閉型ゴーグルが理想的
  • メガネ着用者は、メガネの上から装着できるオーバーゴーグルタイプを選ぶと安心です

塗料汚れを落とす洗濯・メンテナンスの基本

塗料汚れを落とす洗濯・メンテナンスの基本

せっかく良い作業着を選んでも、汚れのケアを怠ると生地が傷んで寿命が縮まります。塗料の種類によって汚れの落とし方が変わるため、正しいアプローチを知っておくことが作業着を長持ちさせるコツです。

塗料の種類別・汚れの落とし方

塗料汚れは「乾く前」に対処するのが鉄則です。乾いてしまうと落としにくくなるので、作業後はできるだけ早めに処置しましょう。

塗料の種類 乾く前の対処 乾いた後の対処
水性塗料 水で洗い流す→中性洗剤で洗濯 ぬるま湯に浸してからブラシでこする
油性塗料・ラッカー シンナーまたはペイントうすめ液で拭き取ってから洗濯 専用リムーバーを使用(生地ダメージに注意)
エポキシ塗料 硬化前にアセトンで拭き取る 硬化後は除去困難なため使い捨て推奨
ウレタン塗料 専用うすめ液で拭き取ってから洗濯 硬化後はほぼ除去不可

有機溶剤系の洗浄液を使う場合は、換気の良い場所で作業し、素手で触れないように耐溶剤性手袋を着用してください。また、溶剤を使った後は必ず水と中性洗剤で洗い流すことが大切です。

作業着を長持ちさせるための保管・管理のコツ

作業着の寿命を延ばすためには、日常的なメンテナンスの習慣が重要です。以下のポイントを実践してみてください。

  • 洗濯表示を必ず確認する:防汚加工や制電加工が付いた作業着は、高温乾燥や柔軟剤の使用で機能が低下することがあります。柔軟剤は制電性能を損なうため、制電加工付きの作業着には使用しないのが基本です。
  • 陰干しを基本とする:直射日光での乾燥は生地の色あせや機能低下につながることがあるため、風通しの良い日陰で干すのがおすすめです。
  • 保管時はハンガーにかける:たたんで保管すると折り目部分から生地が傷みやすいため、ハンガー保管が理想的です。
  • 定期的に生地の状態をチェック:薄くなった部分や縫い目のほつれを早めに発見して補修または交換することで、突然の破損を防げます。
  • 防汚スプレーで機能を補修:フッ素系の撥水・撥油スプレーを定期的にかけることで、加工の効果を回復できます。

まとめ

まとめ

塗装業の作業着選びでは、耐薬品性・帯電防止性能・防汚加工の3つを基本条件として押さえることが大切です。素材はJIS規格適合の制電加工済みポリエステルやTC素材が比較的安心で、作業の種類に応じて使い捨てと繰り返し使用できる作業着を使い分けると、コストと安全のバランスが取りやすくなります。

保護具との組み合わせは「隙間を作らない」ことが鉄則で、防毒マスク・耐溶剤性手袋・密閉型ゴーグルをセットで用意することが基本です。また、塗料汚れは乾く前の早めの対処が効果的で、日頃のメンテナンスが作業着の寿命を大きく左右します。

この記事で紹介した選び方と注意点を参考に、ご自身の作業環境に合った作業着を選んでみてください。安全で快適な現場づくりのお役に立てれば幸いです。

塗装業 作業着 注意点についてよくある質問

塗装業 作業着 注意点についてよくある質問

  • Q1. 塗装業の作業着にコットン素材はNGですか?
    • 完全にNGというわけではありませんが、有機溶剤を扱う現場では不向きです。コットンは吸湿性が高く溶剤を吸い込みやすいため、溶剤が直接肌に触れるリスクが高まります。コットン素材を使う場合は、上から使い捨て作業着を重ねるなどの対策をとるのがおすすめです。
  • Q2. 静電気対策が付いた作業着はどこで買えますか?
    • 作業服専門店やホームセンターのほか、インターネット通販でも購入できます。商品ページでJIS T 8118の規格適合品であることを確認してから購入すると安心です。オリジナルのロゴや社名を入れたい場合は、日本被服工業株式会社のようなオリジナル作業着の制作サービスを利用するのも一つの方法です。
  • Q3. 使い捨て作業着は溶剤に耐えられますか?
    • 一般的な使い捨て作業着(不織布製)は、軽微な塗料飛散には対応できますが、高濃度の有機溶剤環境では溶剤が浸透することがあります。有害性の高い溶剤を扱う現場では、化学防護服(タイプ5・タイプ6など)と組み合わせる必要があります。
  • Q4. 防汚加工は洗濯を繰り返すと効果が落ちますか?
    • はい、防汚加工(特にフッ素系の撥水・撥油加工)は洗濯回数とともに徐々に効果が低下します。柔軟剤の使用を避け、フッ素系撥水スプレーで定期的に補修することで効果をある程度回復させることができます。
  • Q5. 作業着に付いた油性塗料は乾いたら落とせませんか?
    • 乾いた油性塗料は除去が非常に難しくなります。乾く前にシンナーやペイントうすめ液で拭き取るのが基本です。乾いてしまった場合は専用のリムーバーを試す方法もありますが、生地を傷める可能性があるため注意が必要です。エポキシやウレタン塗料が硬化した場合はほぼ除去不可能なので、使い捨て作業着の活用を検討しましょう。