作業着廃棄の環境負荷を減らす具体的な方法と選び方

「古くなった作業着、どう処分すればいいんだろう…」と悩んでいる方も多いのではないでしょうか。実は、作業着の廃棄は環境負荷の観点から見ると、見過ごせない問題になっています。本記事では、作業着の廃棄が環境に与える影響と、廃棄量を減らすための具体的な方法をわかりやすく解説します。自社のサステナビリティ対策を考えている方は、ぜひ参考にしてみてください。
目次
作業着の廃棄は環境にどんな影響を与えるのか?結論まとめ

結論からお伝えすると、作業着の廃棄は焼却・埋め立てを通じてCO2排出や土壌・海洋汚染を引き起こす、無視できない環境負荷の原因です。
作業着には、ポリエステルやナイロンといった化学繊維が多く使われています。こうした素材は燃やせばCO2を排出し、埋め立てても数百年かけてもほとんど分解されません。さらに、マイクロプラスチックとして海洋に流れ込む可能性もあります。
日本国内だけでも、毎年膨大な量の産業用ユニフォームが廃棄されており、その多くが適切なリサイクル処理を経ずに処分されているのが現状です。
一方で、リサイクル素材の活用・長寿命設計・返却回収プログラムといった取り組みによって、廃棄による環境負荷を大きく減らせることもわかっています。企業として何ができるかを知り、小さな一歩を踏み出すことが、環境への大きな貢献につながります。
| 廃棄方法 | 主な環境への影響 |
|---|---|
| 焼却処分 | CO2・有害ガスの排出 |
| 埋め立て処分 | 土壌汚染・マイクロプラスチック問題 |
| 不適切な廃棄 | 海洋汚染・生態系へのダメージ |
作業着の廃棄が環境問題になっている背景

作業着の廃棄がなぜ環境問題として注目されているのか、その背景を理解するために、まず廃棄量の実態と、企業の廃棄慣行の現状を見ていきましょう。
年間どれくらいの作業着が捨てられているのか
日本では毎年、大量の衣類が廃棄されています。環境省の調査によると、国内で年間約51万トンの衣類が未利用のまま処理されており(環境省「ファッションと環境」参照)、産業用ユニフォームや作業着もその中に含まれています。ただし、作業着単独の排出量に関する公的データは現時点では公表されていないため、全体の中にどれくらいの割合を占めるかは明らかになっていません。
作業着は一般衣料と違い、汚れや消耗が激しいため買い替えサイクルが短い傾向があります。製造業・建設業・物流業などの大規模な職場では、数百〜数千着単位での廃棄が行われることも日常的です。
これだけの量が毎年捨てられているにもかかわらず、適切にリサイクルされているのはごく一部。衣類全体では廃棄量の約66%が焼却・埋め立てで処理されており、作業着も多くが同様の処分をされていますというのが現実です。作業着の廃棄による環境負荷は、数字として見えにくいぶん、問題の深刻さが伝わりにくいという課題もあります。
「とりあえず捨てる」が当たり前になっている現状
企業の現場では、古くなった作業着をリサイクルに回すよりも、産業廃棄物として一括廃棄する方が手軽という理由から、「とりあえず捨てる」対応が慣行化しているケースが多く見られます。
リサイクル先の選定や分別の手間、コスト面の課題などが重なり、環境配慮よりも効率が優先されやすい構造があります。また、作業着は油汚れや塗料が付着していることも多く、「汚れているから再利用できない」と判断されやすい側面もあります。
しかし、近年はSDGsへの社会的関心の高まりとともに、サプライチェーン全体での環境負荷低減が企業に求められるようになっています。「廃棄するのが当たり前」という意識を見直すことが、環境経営の第一歩と言えるでしょう。
作業着を廃棄するときに起きる環境への悪影響

作業着を廃棄する主な方法には「焼却」「埋め立て」がありますが、どちらも環境にとって無視できない問題を抱えています。素材の特性にも触れながら、それぞれの悪影響を具体的に見ていきましょう。
焼却処分するとCO2が大量に排出される
作業着を焼却処分すると、燃焼の過程で二酸化炭素(CO2)が大量に排出されます。特にポリエステルやナイロンなどの合成繊維は、石油を原料とした素材のため、燃焼時のCO2排出量が綿などの天然繊維と比べて多くなる傾向があります。
また、防汚加工や撥水加工が施された作業着の場合、焼却時にフッ素系化合物などの有害ガスが発生するリスクもあります。大量の作業着を一括で焼却するケースでは、その影響は決して小さくありません。
焼却によるCO2排出は地球温暖化の進行に直結します。「廃棄物を燃やして処理する」という当たり前のように思える行為が、実は大きな環境負荷になっているのです。
埋め立て処分では土壌・海洋汚染につながる
焼却と並んで多い処分方法が埋め立てです。しかし、作業着に使われる化学繊維は土の中でもほとんど分解されず、長期間にわたって土壌に残留します。
特に問題視されているのがマイクロプラスチックの発生です。埋め立てられた合成繊維素材は、紫外線や雨水の影響で少しずつ細かい粒子に分解され、やがて地下水や河川を通じて海洋へと流れ出します。マイクロプラスチックは魚や海洋生物が誤食するなど、生態系への深刻なダメージにつながっています。
土壌汚染・海洋汚染という形での環境負荷は、遠い話のように感じるかもしれませんが、食物連鎖を通じて私たちの食卓にも影響しうる問題です。
化学繊維は自然に分解されにくい
綿や麻といった天然繊維は、土の中で数ヶ月〜数年で分解されますが、ポリエステルやナイロンなどの合成繊維は分解に数十年〜数百年かかると言われています。
現代の作業着の多くは、耐久性・速乾性・ストレッチ性を高めるために化学繊維が多用されています。機能面では優れている反面、廃棄後の環境への残留期間が非常に長いというデメリットがあります。
「廃棄したらそれで終わり」ではなく、素材が自然界にどれだけ長く残るかを意識することが、環境負荷を考える上で大切な視点です。作業着を選ぶ段階から、素材の環境適合性まで考慮することが、これからの時代に求められています。
作業着の廃棄量を減らすための具体的な方法

作業着の廃棄による環境負荷を減らすには、いくつかのアプローチがあります。すぐに取り入れやすいものから、仕組みとして整えるものまで、4つの方法をご紹介します。
リサイクル・リユース・アップサイクルの活用
廃棄量を減らす最初の一手として有効なのが、リサイクル・リユース・アップサイクルの活用です。それぞれの違いを整理すると、以下の通りです。
| 方法 | 内容 | 具体例 |
|---|---|---|
| リサイクル | 素材に戻して再利用 | 古い作業着を繊維原料に再生 |
| リユース | そのまま再使用 | 状態の良いものを別の現場や社員へ回す |
| アップサイクル | 新たな価値として再生 | バッグや雑貨に作り替える |
近年は、使用済みポリエステル製品を回収して再生繊維にする「ケミカルリサイクル」や、廃棄作業着をエコバッグに作り直す企業の取り組みも増えています。完全に廃棄ゼロにはできなくても、一部でもリサイクルに回すことで環境負荷を着実に下げることができます。
長く使える作業着を選ぶ(長寿命設計)
廃棄量を減らす根本的なアプローチが、そもそも長く使える作業着を選ぶことです。短いサイクルで買い替えが必要な安価な作業着より、耐久性の高い素材や縫製でつくられた作業着を選ぶほうが、トータルの廃棄量を大幅に削減できます。
長寿命設計のポイントとして、以下の点が挙げられます。
- 耐摩耗性の高い素材(高密度織物・補強素材の使用)
- 補修しやすいデザイン(パーツ交換・修理対応)
- 色落ち・型崩れしにくい縫製・染色技術
オリジナル作業着であれば、素材・仕様を自社のニーズに合わせて設計できるため、耐久性と機能性を両立しながら廃棄サイクルを延ばすことができます。「安く買って、すぐ捨てる」から「良いものを長く使う」への意識転換が、環境負荷の低減につながります。
返却・回収プログラムを導入する
企業として取り組める具体的な仕組みが、作業着の返却・回収プログラムの導入です。退職・交代時に古い作業着を回収し、メーカーや専門業者と連携してリサイクルや再利用に回す流れをつくることで、廃棄量を組織的に減らすことができます。
回収プログラムの基本的なフローはこちらです。
使用済み作業着の回収 → 状態別の仕分け → リユース可能なものは再配布 → リサイクル素材として業者へ引き渡し → 廃棄量の記録・報告
このプロセスを社内で仕組み化することで、廃棄物の見える化が進み、CSR報告書やサステナビリティレポートへの記載にも活用できます。環境配慮の取り組みを「見える形」にすることは、社内外へのアピールにもつながります。
レンタル・シェアモデルに切り替える
作業着をそもそも「所有する」のではなく、レンタル・シェアモデルに切り替えるという方法もあります。クリーニング・メンテナンス込みのレンタルサービスを利用することで、作業着の寿命を延ばしながら、廃棄の責任をメーカー・管理事業者に一元化できます。
レンタルモデルの主なメリットは以下の通りです。
- 管理コストの削減(在庫・補充の手間が不要)
- 一定品質の維持(プロによるメンテナンス)
- 使用済み後のリサイクル・廃棄処理を事業者が担う
- 必要なときに必要な数だけ利用でき、過剰購入を防げる
「購入→廃棄」という一方通行のモデルから、循環型のレンタルモデルへの移行は、廃棄による環境負荷を構造的に減らすための有効な選択肢の一つです。
環境に配慮した作業着選びで企業イメージも変わる

廃棄量の削減だけでなく、調達の段階から環境配慮を意識することで、企業全体のイメージアップやブランド価値の向上にもつながります。具体的な選択肢とそのメリットを見ていきましょう。
リサイクル素材を使ったオリジナル作業着という選択肢
近年、ペットボトルや古着を原料とした再生ポリエステル(リサイクルポリエステル)を使った作業着が注目を集めています。バージン素材(新しい石油由来素材)と比べてCO2排出量を大幅に削減できるため、環境負荷の低減に直接つながります。
オリジナル作業着として発注する際に、こうしたリサイクル素材を指定することで、廃棄段階だけでなく製造段階からの環境負荷低減が実現できます。また、環境配慮素材を使ったユニフォームは、従業員の環境意識向上にも効果的です。
日本被服工業株式会社のように、オリジナル作業着の制作に対応しているメーカーに相談することで、機能性・デザイン性・環境配慮を兼ね備えた作業着をオーダーすることができます。
環境配慮型メーカーへの発注先変更で得られるメリット
発注先を環境配慮型メーカーに変えることは、単なる「エコな選択」にとどまりません。取引先・顧客・投資家へのアピール材料としても大きな意味を持ちます。
環境配慮型メーカーへの切り替えで得られる主なメリットをまとめました。
| メリット | 内容 |
|---|---|
| CSR・ESG評価の向上 | サプライチェーン全体の環境負荷低減として評価される |
| ブランドイメージの向上 | 環境配慮の取り組みとして対外的にアピールできる |
| 従業員エンゲージメント | 環境意識の高い職場づくりに貢献 |
| コンプライアンス対応 | 環境関連法規・社内方針への適合がしやすくなる |
SDGsへの対応が企業評価に直結する今の時代、作業着の調達先を見直すことは、環境経営の具体的なアクションの一つです。小さな変化が、企業全体のサステナビリティ推進の大きな一歩となります。
まとめ

作業着の廃棄は、焼却によるCO2排出・埋め立てによる土壌汚染・化学繊維の長期残留といった形で、環境に大きな負荷をかけています。しかし、リサイクル・リユース・長寿命設計・返却回収プログラム・レンタルモデルといった取り組みで、廃棄量を確実に減らすことができます。
さらに、リサイクル素材を使ったオリジナル作業着への切り替えや、環境配慮型メーカーへの発注先変更は、廃棄問題の解決だけでなく企業イメージの向上にもつながります。
「どこから手をつければいいかわからない」という方も、まずは今の廃棄フローの見直しや、発注先への問い合わせから始めてみてください。作業着の選び方・扱い方を変えることが、環境負荷の低減への確かな一歩です。
作業着 廃棄 環境負荷についてよくある質問

- 作業着を廃棄するとき、どの処分方法が最も環境負荷が低いですか?
- 最も環境負荷が低い処分方法はリサイクルです。ただし、汚れがひどい場合はリサイクルが難しいこともあります。状態の良いものはリユース(再使用)、再使用が難しいものは専門業者によるリサイクルに回し、焼却・埋め立てを最後の手段として最小化することが理想的です。
- 作業着に使われている化学繊維は、どれくらいの年数で分解されますか?
- ポリエステルやナイロンなどの合成繊維は、自然環境の中で分解されるまでに数十年〜数百年かかるとされています。天然繊維(綿・麻など)が数ヶ月〜数年で分解されるのと比べると、環境中への残留期間が非常に長く、土壌汚染やマイクロプラスチック問題の一因になっています。
- リサイクル素材を使った作業着は、通常の作業着と比べて品質や耐久性に差がありますか?
- 近年のリサイクル技術の進歩により、再生ポリエステルなどのリサイクル素材は通常の素材と遜色のない品質・耐久性を持つものが増えています。オリジナル作業着として発注する際に素材の仕様を確認・指定することで、機能性と環境配慮を両立させることが十分に可能です。
- 返却・回収プログラムは小規模な企業でも導入できますか?
- はい、小規模な企業でも導入できます。まずは作業着メーカーや産業廃棄物処理業者に相談し、回収・リサイクルルートを確認することから始めるとよいでしょう。大がかりな仕組みがなくても、退職者や異動時に作業着を回収するルールを設けるだけで廃棄量の削減につながります。
- レンタルモデルに切り替えると、コストはどう変わりますか?
- 初期費用は抑えられる一方で、月々のレンタル・クリーニング費用が発生します。ただし、在庫管理・補充・廃棄にかかるコストや手間が削減されるため、総合的なコストが下がるケースも多くあります。環境負荷の低減だけでなく、管理効率の向上という観点からも検討する価値があります。
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