作業着の素材にはどんな種類がある?特徴や選び方をご紹介
作業着の素材にはどんな種類がある?特徴や選び方をご紹介
会社でオリジナル作業着の制作を任された担当者の方は、素材選びで多くの課題を抱えています。
特に「ポリエステルや綿など、どの素材が現場の作業に最も適しているのか分からない」「耐久性と快適性を両立できる素材を見つけられずに困っている」といった声をよく耳にします。
本記事では、ポリエステル、綿、ナイロン、ポリウレタンなどの主要な素材特性について詳しく解説し、混紡素材の特徴や最適な素材の選び方をご紹介いたします。
作業着の素材選びは、作業効率や安全性に直結する重要な要素です。適切な素材を選ぶことで、従業員の快適性向上とコスト効率の最適化を同時に実現できるでしょう。
作業着に使われる素材
作業着には、用途や作業環境に適した多様な素材が使用されており、主にポリエステル、綿、ナイロン、ポリウレタンの4つの基本素材と、これらを組み合わせた混紡素材があります。
それでは、各素材の詳しい特徴について説明していきます。
ポリエステル
ポリエステルは作業着素材の王様といえるほど、数多くの優れた特性を持った合成繊維です。石油由来の化学繊維で、最も作業着に向いている素材ともいえる特徴を備えています。
まず最大の魅力は、耐久性が非常に高く、シミも付きにくく、色落ちや洗濯時に繊維が縮んでしまう心配も少ないことです。圧倒的に耐久性に優れていることが、作業着としてよく使われる最も大きな理由となっており、毎日の厳しい作業環境でも長期間安心してご使用いただけます。
速乾性と軽量性も大きなメリットです。軽い着心地があり、速乾性にも優れているため、作業着が濡れても軽さを維持できます。
速乾性にも優れているため、梅雨時期の洗濯も安心で、忙しい現場でのお手入れが格段に楽になるでしょう。また、縮みにくく、型崩れやシワが起きにくいため、アイロンがけの手間も省けます。
綿
綿は作業着素材の優しい守り手として、天然繊維ならではの魅力を持った安心素材です。綿花の種子から採取される天然素材で、作業服をはじめ幅広い衣類に使われています。
綿素材の最大の特徴は、優れた着心地と安全性のバランスにあります。天然繊維特有の柔らかさがあり、肌触りが良いため、長時間の着用でもストレスを感じにくく、肌が弱い人や汗をかきやすい人でも快適な状態で作業ができます。
さらに吸水性や吸湿性が高いので、汗をかいても蒸れにくく快適です。
一方で注意すべき点もあります。綿は乾きにくい傾向にあります。毎日着用する作業着は、なかなか乾かないとなるとストレスになるでしょう。
ナイロン
ナイロンは作業着素材の頼れる守護神といえるほど、綿の約10倍摩擦に強く、引張りや耐摩耗性に優れ合成繊維の中で一番丈夫である特性を持った高強度合成繊維です。
石油を原料にした高分子物質「ポリアミド」を繊維にしたもので、「クモの糸より細く、絹よりも美しく、鋼鉄より強い」というキャッチフレーズで誕生した世界初の合成繊維です。
驚異的な耐久性と軽量性がナイロンの最大の魅力です。摩擦に加えて、引っ張られる力にも強いため洗濯したときに劣化が少なく、長く安心して使えるのが特徴で、天然繊維を使用した製品よりも格段に軽く、ポリエステルと比較してもナイロンの方が若干軽いため、長時間の作業でも疲労感を軽減できます。
水に強い特性も作業着として重要なポイントです。水を弾く特性もあるので、合羽(レインウェア)にもよく使われており、水や油にも強く、それだけでなく海水にも強いため、様々な環境での作業に対応できます。
ポリウレタン
ポリウレタンは作業着素材の動きやすさを生み出すゴムのような弾性繊維です。ゴムのように伸びる性質を持つ化学繊維であり、生地に数%含まれるだけでストレッチ性を出すことが出来ます。
動きやすさと快適性を向上させる特性が最大の魅力です。しなやかなストレッチ性が生まれます。優しく包んでくれるような、ストレスのない快適な着心地が特徴の糸です。
軽量性や強度面での優れた性能も注目すべき点です。ポリウレタンは断熱材やスポンジの原料になることから、とても軽いという特徴があります。
混紡素材
混紡素材は作業着素材の万能プレイヤーとして、異なる素材を組み合わせることで、それぞれのメリットを最大限に活かしつつ、デメリットを補い合う理想的な素材です。
混紡とは、異なる種類の繊維を組み合わせて作られた糸や生地のことで、素材の特性を活かしながら弱点を補う技術です。作業着においては、単一素材では実現できない優れた機能性を持つ素材として重要な役割を果たしています。
混紡素材は配合比率によって性能が大きく変わるのも特徴です。2つの素材の混紡割合によって、少しずつ特性や風合いが変わるため、用途に応じた最適な配合を選択できます。
ポリエステル65%・綿35%
ポリエステル65%・綿35%は作業服の黄金比率素材として、両素材の長所を最大限に引き出せる理想的な配合割合です。この配合は、「黄金ブレンド」とも呼ばれ、混紡素材の中でも特に優れた特性を持つため、多くの作業現場で愛用されています。
ポリエステル65%・綿35%の混紡素材は、綿の持つ通気性・吸水性というメリットとポリエステルの持つ耐久性・シワへの強さが合わさって、作業着として理想的な機能バランスを実現しています。
ポリエステル90%・綿10%
ポリエステル90%・綿10%の素材は、独特な構造と機能性で多くの現場から支持される理想的な配合比率です。
表面が「ポリエステル100%」、裏面が「ポリエステル65%・綿35%」の生地で作られた素材で、綿ならではの着心地の良さがありつつも、表面はすべてポリエステルで作られているため、見た目にツヤ感があります。
最大の特徴は、着用感と外観の両立にあります。裏面に綿の比率を高くすることで、肌に触れる部分では天然繊維の優しい肌触りを確保し、同時に表面はポリエステル100%の構造により、美しい光沢と高い耐久性を維持できます。
実用面での利点として、メンテナンス性の高さと機能性のバランスが挙げられます。表面がポリエステル100%のため、シミが付きにくく、色落ちや縮みの心配が少なく、同時に速乾性にも優れています。

作業着に最適な素材の選び方
作業着の素材選びは、作業環境や用途に合わせて最適な特性を持つ素材を選択することが重要です。選択のポイントは大きく分けて3つの観点から検討する必要があります。
それぞれについて詳しく説明していきます。
作業用途で選ぶ
作業用途に応じて最適な素材を選ぶことで、現場での安全性と快適性を両立できます。
建設・建築現場では、高所作業や重作業に対応できる耐久性の高い素材が求められ、素材・機能・実用性・動きやすさといったいろいろな面に気を遣う必要があり、転倒や巻き込みなどの事故を防止する観点から、伸縮性のあるストレッチ素材など動きやすいものがおすすめです。
製造業や工場では、汗をかくことや暑い場所で作業することが想定されるので、通気性の高さが求められます。綿とポリエステルの混紡ツイルが、肌触りがさわやかな涼感素材として作業服にも使われているため、快適性を重視する現場に適しています。
食品関連の現場では、異物混入を防いで衛生管理を徹底することが最優先され、ほこりなどを寄せ付けないために帯電しにくい綿や麻などの素材や、帯電防止性能を有した素材も適しています。
使用環境で選ぶ
使用環境に応じた作業着の素材選びは、作業の安全性と快適性を大きく左右する重要な決定要素です。屋外作業と屋内作業、高温環境と寒冷環境では求められる機能が異なるため、それぞれの環境特性を理解した上で最適な素材を選択することが大切になります。
屋外の直射日光下での作業では、遮熱性・UVカットに優れた素材が効果的で、通気性の高さが求められます。建設現場や道路工事などの屋外作業では、紫外線対策と汗の処理能力が重要となり、ポリエステルと綿の混紡素材が理想的です。
一方で、屋内や軽作業であれば、吸汗速乾・通気性を重視した作業着で十分です。工場内や倉庫作業では、外気の影響を受けにくいものの、汗をかくことや暑い場所で作業することが想定されるので、通気性の高さが求められます。
このように環境に応じた素材選択により、作業効率の向上と安全性の確保を同時に実現できるため、使用環境の特性を十分に把握した上で最適な素材を選ぶことが重要です。
コストで選ぶ
コストパフォーマンス重視の作業着選びでは、素材の価格帯と耐久性のバランスを見極めることが重要です。限られた予算内で最大限の効果を得るため、価格だけでなく長期的な使用コストも考慮した選択が求められます。
長期的なコスト削減を考慮する場合、初期投資を若干増やしても混紡素材を選択することが賢明です。耐久性の高い素材は洗濯回数に強く、型崩れしにくいため、買い替え頻度を減らせるというメリットがあります。
特に法人での大量購入では、発注ロット数が大きくなるほど、価格が安くなる傾向があるため、まとめ買いによる単価削減も検討しましょう。
一方で、買い替えの頻度が高くても安心な低価格の商品も多数あるため、作業環境が非常に過酷で頻繁な交換が必要な現場では、安価な素材でも問題ありません。
このように、作業環境と予算に応じて最適な価格帯の素材を選択することで、コストパフォーマンスを最大化できるでしょう。
まとめ
本記事を通じて、作業着に使用される各種素材の特性と選び方のポイントについて詳しく解説してまいりました。
ポリエステル、綿、混紡素材それぞれの特性を理解することが、最適な作業着選びの出発点となります。
これらの知識を基に、ぜひ実際のサンプル確認や専門業者への相談を積極的に活用してください。業種や作業内容に応じて汚れが目立ちにくいカラー選択なども含めて総合的に判断することで、従業員の皆様にとって最適な作業着環境を構築していただけることでしょう。